適応症・症例

適応症(下記にない症状でもご相談ください)

● 頸肩腕症候群などのシビレや頭痛を伴う首や肩や腕の症状
● 五十肩などの腕の運動困難
● ギックリ腰や慢性腰痛
● 股関節疾患・膝関節痛・足首の痛みほか足の運動困難
● 頭痛・目まい・ふらつき・立ちくらみ・メニエール症候群・自律神経失調症
● 目の痛みや疲れ目、初期の突発性難聴、鼻つまり・蓄膿症
● 手足のむくみ・頑固な冷え・足のつれ・移動性の痛み
● 下痢・便秘、慢性的胃のもたれや胃痛
● 生理不順・生理痛・つわりや更年期障害などの婦人病
● 前立腺肥大・インポテンツなどの男性生殖器疾患
● 慢性的疲労、体質的虚弱
● 花粉症やアトピー・喘息などのアレルギー症状
● 風邪の諸症状(発熱・鼻水・喉の痛み・咳痰など)
● 内臓に関わる諸疾患
● 脳卒中・脳梗塞後遺症や糖尿病・痛風などの循環器疾患
● そううつ症・神経症などの精神疾患
● 色々な神経痛やマヒ・しびれ(顔面神経マヒ、帯状疱疹など)
● 小児はり(子供の夜尿症 風邪 疳の虫 アトピーなど)
● シェーグレン症候群などの自己免疫疾患

印象的な症例

記憶障害

31歳の男性ですが、学生時代からアメフトをやっていて、社会人になってからも続けていましたが、これまでに何度も脳震盪を起こしていたそうです。数年前から仕事の面でミスが目立ち始め、取引先とか上司の指示や打ち合わせ内容をよく忘れてしまう様になりました。そこで病院で検査を受けたところ、脳内の血流量が通常よりも少ないと言われたとの事で、鍼灸で改善はできないかと相談を受けました。
当院の経絡治療は体質を改善し、生命力や治癒力などを高めて病苦を取り除くのが目的ですから、この様な症状にも対処できると考え治療をお引き受けしました。
頭部に循(めぐ)っている正経や奇経の経絡を中心に考え、四診法(望診・聞診・問診・切診)によって証を決め治療を行いました。
これまで計9回の施術を行いましたが、体調はすこぶる順調で、並行して受けているリハビリの経過も非常に良い様です。これは年齢が若く回復力が旺盛であるのは勿論ですが、全身の経絡調整によって気血の流れが活発化しバランスが取れて来た結果だと思います。
今後も継続治療をして行けば完治に結びつくと思います。

頚椎症性神経根症

平成30年11月に来院された46歳女性の症例です。1ヶ月ほど前から左腕から肩にかけて強い痛みが出て、病院で診察を受けたところ、頸椎の5・6番間の「頚椎症性神経根症」と診断されました。病院での投薬と、鍼も刺激の強い鍼を15・16回受けたそうですが、一時よりは多少痛みが和らいだものの、まだかなり痛むとの事でした。
触診すると側頸部から肩に(特に左)にかけて強い凝りと緊張が診られました。全身調整の本治法の後、頸肩のこりをほぐすように視診し、奇経治療や刺絡治療(左手井穴)を行いました。これまで17回やっていますが、時々頸肩や腕に負担がかかると痛みが出ますが、その程度は以前とは比べものにならないほど軽減しています。現在も継続治療を行っています。

過敏体質の患者さんに対する治療

平成22年頃から1ヶ月に1回ぐらいのペースで来院されている、鍼に対して過敏な方ですが、当時47歳の男性です。
主訴は主に頸肩こりやカゼ症状(頭痛・発熱・喉痛・だるさなど)が多く、治療の際は普通の毫鍼(刺す鍼)ではなくテイ鍼や円鍼(刺さない鍼)を全てに用いています。補助療法として奇経治療も行いますが、できるだけ治療量(ドーゼ)を少なくして治療効果を上げる様に工夫していますので、治療時間は20分ぐらいで終わります。最近は過敏体質の患者さんが増加傾向にあると思いますが、この様な「刺さない鍼治療」もありますので、刺激に弱い方でも安心して鍼治療を受けられます。ぜひ当院にご相談下さい。

慢性前立腺炎

5年前の症例ですが、38歳で慢性前立腺炎の男性が来院されました。発症は7ヶ月前で、仕事で座っている時に痛くなってくるとの事です。病院からは痛い時にのむ薬を貰っているが、薬を飲み続けないといけないと言われており、鎮痛効果はないそうです。左右の鼠径部に強い痛みが常にあります。
前立腺は内性器ですから腎水経の変動、鼠径部の痛みは股関節部ですから脾土経の変動となり、おのずと証も決まってきます。四診法により主証を腎脾相剋として本治法を行い、補助療法である奇経治療として照海―列缺の十字交差を加えて経過を観察しました。
治療2回目頃から痛みの程度が半分ぐらいになり、回数を重ねる毎に徐々に軽減して行きました。9回目で自発痛は消失し、以後疲れが溜まると少し痛みが出るが、ほとんど痛みは改善しました。
経絡治療ではごく浅めに鍼をしますが、その様な鍼でも体質改善を図りながら局所的な治療(標治法)や補助療法を行いますので、深く刺して神経を刺激する様な鍼治療とは根本的に治療法が違います。従って、運動器疾患が主体の刺激治療と比べ、神経症などの精神的な者や内臓疾患、あるいは女性の更年期障害とか不妊症、またはアレルギー疾患など、あらゆる病気に対応できる治療法です。

シェーグレン症候群

この病気は自己免疫疾患の一種で、涙腺の涙分泌異 常や唾液腺の唾液分泌異常などの症状が現れます。 40歳から60歳の女性に好発し男女比は1:4で、シェーグレンとはスウェーデンの眼科医の名前です。
 さて、患者さんは64歳の女性。4ヶ月位前から目ヤニが出て目が乾きゴロゴロする(ドライアイ状態)。また、話し始めると口の中が渇き水分を摂りながらでないと話ができない。その他の症状としては足の冷えと左股関節痛があります。現在、目の方は眼科で治療中ですが、口の渇きは特に治療はしていないとの事です。鍼は初めてですが、友人から勧められた免疫治療の本を読んで、ご自分で手の指の井穴刺絡(爪の生え際から?血を抜く治療法)を毎日やっていたと言う事でしたので、私もちょっと驚いてしまいました。所謂、免疫力を高める為に実行したと言う訳ですが、素人療法でこの様な事を行なうと感染症などの危険性もありますので、鍼灸の専門家に お任せ頂きたいと思います。治療内容としては全身調整の鍼(本治法)と局所調整(標治法)に加えて補助療法として奇経と刺絡を行ないました。1回目の治療後に冷えていた足が大分温まっておりましたので、経絡治療に適合した体質の方だなと言う感じを受けました。以後、回数を重ねて行くとドライアイと口渇の症状も大分改善され全身状態も良好になってきております。平成23年12月末から治療を始めましたが、現在も継続治療中です。

帯状疱疹(ヘルペス)

63歳の男性で機械製作会社を経営されています。息子さんに社長を譲り、ご自身は会社のHP更新作業や現場の監理などを担当し非常に忙しい毎日を送っていたところ、平成22年11月に右側の胸から脇の下・背部にかけて黒い斑点状の帯状疱疹が出てきました。現在、皮膚科のペインクリニックで治療も受けていますが痛みが激しく、特に右胸の乳頭の周囲に強い痛みと痺れがあり、夜中も痛みで1時間半位おきに目が覚めて、そのつど入浴しないと身体のおきどころがないと言う様な最悪の状態でした。既往歴としては6年前からペースメーカーを装着しています。帯状疱疹は過労などによる免疫力低下の状況で発症する疾患ですから、経絡のバランスを整え免疫力を強化し、同時にお灸や奇経・刺絡などを駆使し、できる限り早急に苦痛を除去する様に努めました。2回の治療で全体の痛みが約3分の2程度になり、夜中も1回だけの入浴で済む様になりました。その後11回目位までは痛みが一時強くなったり弱くなったりしましたが、12回 以降から徐々に脈状や皮膚の状態も良くなってきたので同様の治を継続し、結局24回の治療で終了しましたが、皮膚の斑点も大分薄くなり痛みも殆ど取れました。
 この方は発症した時に神経痛と勘違いし整形外科を受診されたと言う事で症状が悪化し、当院には発症から2ヶ月半を経て来院されましたので治癒するまでには相当な期間がかかるのではないかと思っておりましたが、お住まいから遠方と言う事もあって約5ヶ月を要しました。やはり発症から受診されるまでの期間が予後を左右する大きな要因となりますので、できるだけ早めに受診される事をお勧めいたします。

アトピー性皮膚炎

41歳の女性で百貨店に勤務されています。若い頃からアレルギー(ピーナツ・ダニ・埃・花粉症など)と共に頸肩背部にアトピー性皮膚炎がありますが、現在病院での治療は受けておりません。アトピーは乾燥した発疹で赤黒く頭部・頸肩部・背部には熱感があり逆気(冷えのぼせ)の状態です。既往歴としては子宮筋腫・メニエール・喘息があります。治療方針としては体質や症状を見極めながら免疫力を整える様な治療を心がけました。特にこの方は逆気しやすい体質と判断しましたので気を引き下げる様な本治法を施し、標治法として背骨を通る経脈と両脇の反応点及び前腕の皮膚炎に有効なツボにお灸を行ないました。また、症状の変化に合わせて補助療法も併用し週1回の治療を継続しておりますが、生活環境や季節によって多少の変動はあるものの痒みは殆ど収まって頸肩の皮膚の発疹は綺麗になりました。まだ背腰部に時々痒みが出る為、皮膚の色が黒ずんで発疹が出ている部分も見られますが、今後も継続治療をすれば完治させる事は可能と考えております。

頸肩の凝り・カゼをひきやすい・うつ症状

47歳の男性で4年前に仕事場を転勤してからうつ病と診断され抗うつ剤と睡眠剤を服用中です。以前から後頸部から肩にかけて重く凝る、また時々微熱が出て喉が痛く身体がダルいと言うカゼの様な症状が出やすいそうです。
 この方は非常に敏感な患者さんなので、治療の鍼はテイ鍼を用いました。テイ鍼とは太く長い刺さない鍼で、気の循(めぐ)りの早い敏感な患者さんに多く用いますが、小児鍼にも使用され思った以上に治療効果が上がります。この様な敏感な方にはできるだけ治療量(ドーゼ)を少な目にし身体に負担をかけない事が肝要です。治療後は効果もすぐ現れ症状が取れますので、ごく軽い刺激の鍼を施し必要に応じて補助療法も加えて治療を終わりました。季節の変化や仕事のストレス・生活環境の変化に左右されやすいので、継続的に経絡治療を積み重ね体質改善する事が必要となってきます。頸肩の凝りやカゼの症状も余り出なくなってきましたが、うつ症状のより一層の改善を目指して概ね2・3週に1回の間隔で継続治療を行なっております。

顔面神経マヒとバネ指

62歳の女性。顔面神経マヒで右側の上眼瞼下垂と頬部鈍磨・口角下垂があり、左手中指がバネ指を起こしています。
この方は私が川越にいた時の患者さんですが、その時は左の顔面神経マヒで治療を行い治癒に至りました。私が平成16年6月に北浦和に移転した為、疎遠になっておりましたがその間に反対側の右顔面神経マヒが発症したと言う事で、HPをご覧になって当院を受診されました。
 今回の症状は平成19年3月に発症し、病院に2ヶ月間入院してステロイド投与などの治療を受けましたが完治せずに、近くの鍼灸院で鍼を受けたところ鍼が痛くて治療効果も上がらなかったとの事でした。平成19年6月から大体週に1回の治療で徐々に症状は改善し、現在も健康管理を兼ねて週1回の継続治療を行なっておりますが、発症から3ヶ月を経過してからの受診であり、一時期的に仕事の疲れや体調の不具合などが出る場合もあって、現在は7・8割程度の治癒率ではないかと考えております。また、バネ指は鎖骨上窩を中心とした反応点に軽く刺鍼し、更に症状の出ている指の井穴に刺絡を施し治癒させる事ができました。

インポテンツ

61歳の男性で一年ぐらい前に奥さんを亡くされて、それ以来勃起が不完全で鍼で何とかならないかと言う訴えでした。現代の60歳は昔とは比較にならない程若々しい人が多いですが、この方も見かけはまだ50代と言った感じです。他には特に悪い所は無くお酒もタバコもやらないとの事でした。現代はストレスの時代ですから、若くてもこの様な悩みをお持ちの方も多い様です。ともかく治療を始める事にしました。
 どれぐらいで治療効果が出るのかはその人の持っている生命力・回復力などによりますが、今までの経験では最低5・6回は治療が必要と思われました。治療はまず足と手のツボに全身調整の鍼(本治法)を行い、背中・腰の調整(鍼で左右のバランスを取る)、それから仙骨部を温灸で暖めて下腹部にも温灸を行いました。
 このような極く軽い治療を終えて帰宅され、次の日に来院された時には「昨夜は以前のような状態に戻った」と言って非常に喜んでおられました。私もこれ程早く回復されるとは考えていな かったので、その治療効果にビックリしてしまいました。この方は月に1回ぐらいのペースで健康管理の為に来院されています。
人によって体質や病症が違いますから上記のような例ばかりではありませんが、経絡治療では短期で治療効果が上る事がよくあります。勿論、慢性的なものはある程度継続しないと 目立った治療効果が見られない場合もありますが、それこそ「継続は力なり」と言う様に諦めずに治療を継続して頂く事が大切だと思います。